定額残業代

Q.弊社では定額残業代を導入しているのですが、未払い残業代が発生している可能性があるのではと指摘されました。どのような確認が必要でしょうか。

 

A.
未払い残業代が発生している可能性としましては、主に以下の2パターンが考えられると思います。

①定額残業代の設定時に、残業代を少なく見積もっていた場合。
②設定した定額残業時間を超えて残業をしていたのに、超えた分が支払われていない場合。

パターン①について
定額残業代(固定残業代)とは、あらかじめ会社が一定時間の残業を想定し、その分の残業代を毎月定額で支払うことを言います。
しかしこの定額残業代は、会社の都合で好き勝手に金額を設定していいという訳ではありません。
労働基準法により、時間外労働には通常の賃金の1.25、深夜労働には0.25、法定休日労働には1.35の割増賃金が必要とされています。
定額残業代には、「○○時間分の定額残業代○円を含む。」等の記載があると思いますが、これが労働基準法に満たない場合にはその部分が未払い残業代となる場合があります。

パターン②について
定額残業代を設定しているからと言って、毎月その定額残業代分だけを支払っていればよいというものではありません。
毎月の残業時間の把握をせず、定額残業代だけを支払っている場合には、未払いが発生している可能性があります。
設定した定額残業時間を超えて残業が発生した場合には、超えた分の残業代は別途支払いが必要となります。


昨今、この定額残業代をめぐる裁判が頻発しており、相次いで制度の無効判断が出ています。

定額残業制度は、労務管理の簡便化等のメリットがある一方、制度設計、導入の経緯や方法、従業員への制度の十分な説明と理解がされているかなど、正しい運用がなされていなければ、未払い残業代が発生したり、裁判になるリスクがあります。

今一度、適切に運用がなされているか確認の上、専門家に相談されることをお勧め致します。

2017年05月29日