女性を優先的に採用しても良いか

Q.当社では、営業職の従業員の男女比が7:3で、男性の割合いが多くなっております。今回、男女比の差を減らすべく、求人において女性を優遇する取り組みを行おうと思いますが、そのような募集は認められるのでしょうか。

A.男女雇用機会均等法(以下、均等法)は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図ることが目的とされており、原則的には求人等において性別による差を設けることは出来ません。(均等法第5条)しかし、御社のような女性の比率が相当程度少ない職種等において、「女性を優先的に採用」もしくは「女性のみの募集をすること」はポジティブアクション(積極的格差是正措置)として認められています。


均等法では、労働者の募集・採用、配置、昇進、昇格及び教育訓練等において性別を理由とする差別を禁止しています。(均等法第5条・第6条)

しかし、女性労働者に係る措置に関する特例として、「事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。」と定められています。(均等法第8条)

具体的には、募集及び採用においては、以下のような措置を行っても法違反とはならないとされています。
「女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない*1雇用管理区分*2における募集又は採用や、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない役職についての募集又は採用に当たって、情報の提供について女性に有利な取扱いをすること、採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすること。」

*1「相当程度少ない」とは4割を下回ってることをいいます。
*2「雇用管理区分」とは職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者についての区分であって、当該区分に属している労働者と他の区分に属している労働者と異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいいます。
雇用管理区分のイメージ図につきましてはコチラを参照下さい。(埼玉労働局)

ですので、御社では営業職の従業員の男女比が7:3ということですので、女性従業員の割合が4割を下回っているため、「均等法第8条によるポジティブアクション」として、営業職の求人において、「女性専用求人」としたり、或いは、実際に女性を優先的に採用するなどして優遇したとしても、既述のとおり積極的格差是正措置として違法とはなりません。

最後に、均等法第8条は女性のみに適用されるものであるため、女性従業員が男性従業員より多い場合に、男性を優先的に採用することは均等法5条に違反するため注意が必要です。また、今回のような取組みを行う前に、最寄りの労働局の雇用均等室に具体的な内容を相談される事をお勧め致します。

2018年11月02日